【BtoB事業の立て直し】売上不振の原因を数字から紐解き、営業・マーケティング戦略から実行の仕組みまで構築した支援事例

「前期赤字になってしまったので相談に乗ってほしい、でも赤字なった理由はイマイチわからない」
今回ご相談いただいたのは、法人向けに運送を軸として、人手と車両を活用したさまざまなサービスを提供しているBtoB企業です。
事業そのものには一定の顧客基盤があり、複数のサービスも展開していました。
しかし、業績は徐々に悪化。売上が伸び悩み、赤字に陥っていました。
そこでまず取り組んだのが、「赤字になった理由を感覚ではなく数字で特定すること」でした。
【分析】「なぜ赤字なのか」を徹底的に分解する
経営が悪化したとき、つい「営業が足りない」「マーケティングが弱い」「市場環境が悪い」といった要因に目が向きがちです。
しかし、まず行うべきは正確な現状把握です。まず財務面から事業の構造を整理しました。
本件の利益構造を以下のように分解しました。
固定費の圧迫、限界利益率の不足、売上不足を大きな軸としてとらえ、その中でももう一段階深く掘り下げ、残高試算表をはじめとした財務データと販売実績データを分析し、どこが最重要課題なのかを定量的に分析します。

こうした数値を整理した結果、見えてきたのは非常にシンプルな事実でした。
赤字の最大の原因は、「売上が下がったから」。
ただし、「売上が下がったから売上を上げましょう!」では課題設定にはなりません。
重要なのは「どんな売り上げが」「なぜ下がったか」です。
販売実績を確認すると、売上は大きく、
- 契約が続く限り継続的に発生するサブスク型の売上
- サブスクではないものの、ルーティン的に発生する消耗品の売上
- 顧客の必要なタイミングで案件が発生するショット型の売上
に分けて考えることができました。
そして分析を進めると、特に減少していたのがショット型の売上でした。
さらに市場動向や販売実績などを確認すると、このショット売上は以前からある程度のダウントレンドにあったことが分かりました。
固定売上は性質上変動しづらいので、当たり前と言えば当たり前ですが、その前提を踏まえると見える景色は大きく変わります。
課題設定が「売上を上げる事」から「平均単価xx万円のショット案件を月xx件積み上げる」という形に変わります。
一方で、合わせて他の問題も見えてきました。
新規顧客が、ここ数年ほとんど増えていなかったのです。
これまで新規顧客を獲得するための明確な集客活動をほとんど行っておらず、顧客が増えるケースも、担当者の転職や紹介などをきっかけとした受け身が中心でした。つまり、「新しい顧客が増える仕組みが存在していなかった」という構造的な課題もありました。
【戦略】2つの方向からテコ入れを開始
課題が見えたことで、今後の方向性も整理されました。
大きくは2つです。
①サブスク既存顧客のショット案件クロスセル率を高める
新規顧客を開拓するコストよりも、既存顧客の売上を上げるコストの方が一般的には低くなります。
故に既存のお客様に、現在利用いただいているサービスだけではなく、複数のサービスを利用していただく「クロスセル」を強化するのが第一路線です。
特にサブスク商材の既存のお客様のサービス満足度は高く、顧客と接点を持つ機会が多いという強みを最大限に活かしそこからショット売上をあげるルートになります。
②新規顧客を獲得する
とはいえ、既存顧客だけで新規開拓の仕組みがなければ停滞の道をたどるのは目に見えています。
そこで、これまで十分に整備されていなかった新規顧客開拓のチャネルを整え、Webからの集客にも取り組むことを実施しました。
戦略① 既存顧客へのクロスセルを仕組み化
まず考えたのは、
「どうすれば、既存のお客様から別のサービスの依頼をいただけるのか?」
ということでした。
ここで重要だったのが、サービスの特性です。
今回のサービスは、毎日必要になるようなものではありません。
1年に1回程度、あるいは数年に1度、大きな需要が発生するようなイメージです。
つまり、お客様側で需要が発生してから営業をかけるのでは遅い。
需要が発生した瞬間に、
「そういえば、あの会社に相談できるかもしれない」
と思い出してもらうことが最も重要なのです。
そもそもサービスを知られていない
最初の課題はサービスの認知度が低いことでした。
あるAというサービスを使って気に入っていただいていても、そのお客様の中では「Aのサービスをやっている会社」というイメージでしかなく、他のニーズとの結びつきは通常発生しません。
実際に顧客にアンケートを取ってみると利用していないサービスの認知度は著しく低いことがわかりました。
なお、この「アンケートを取る」という施策も担当者にサービス内容を知ってもらう一つの接点です。
「このサービスを展開していたことを知っていましたか?」「この業務は実施していますか?」という内容を忍ばせることでサービス認知と需要調査を兼ねたアンケートを設計することで、ただの調査にとどまらないマーケティング施策としても活用しました。
サービスを刷り込む仕組みの構築
認知率と一口に言っても、一度知ってもらうだけでは機能しませんでした。
本案件のサービスは取引先のバックオフィスに向けたサービスであり、直接的に売上が上がるものでもない関係上、取引先の中での優先順位はどうしても低くなってしまうのも事実でした。
サービスの紹介というものは、受ける側にとっては必要がない時にはどうでもよく、すぐに頭から抜け落ちてしまうものなのです。
だからこそ、需要が発生した時にしっかりと伝えたり、思い出してもらうためには一度で終わらない根気強いコミュニケーションが重要です。
大きな戦略として、複数の顧客接点を使って定期的にコミュニケーションを取る仕組みを検討しました。
例えば、
- 請求書同梱チラシ:紙の請求書を運用しており、「毎月必ず担当者が開く」という強力な物理的接点です
- メールマガジン:営業部で持っている名刺を電子化・リスト化、単なる営業案内ではなく、役立つ情報や事例を発信し、自社を思い出してもらう
- サブスク設備:顧客のオフィスに設置されているサブスク商材に他商材の紹介ステッカーを貼り付け、毎日目にする形にして刷り込みを行う
- 配送スタッフ:サブスク商材のメンテナンスにサービススタッフがお伺いする際にも(嫌がられない程度に)サービスの紹介をできるようにする
さらに、紹介するサービスは月替わりで変更。
需要が高まる時期に特定のサービスにコミュニケーションを集中させ1担当者が月に複数回接触するように全体をデザインしました。
こうした接点を一つひとつ積み重ねていきました。
マーケティング施策は、必ずしもすぐに成果が出るものではありません。
少しずつマインドシェアを広げていき、場合によっては「施策を始めて1年後に問い合わせが来た」ということもあります。
だからこそ、短期的な反響だけで判断せず、継続的に接触する仕組みをつくることを重視しました。
「売る営業」から「課題を聞く営業」へ
クロスセルを実現するためには、営業のあり方そのものも変える必要がありました。
従来のセールストークは、「○○というサービスを紹介させてください」という、いわばプッシュ型の営業でした。
今回、ベーシックな手法ではありますが営業のアプローチを見直しました。
単にサービスを紹介するのではなく、総務周りの課題をヒアリングすることに重点を置きました。
「何か困っていることはありませんか?」「現在どのように対応していますか?」
といった会話から課題を把握し、その課題に対して自社のサービスを提案する。
つまり、「商品を売る営業」から「課題を解決する提案型営業」へ。
営業活動の考え方を転換しました。
戦略② Web集客では「売れる商材」に集中
もう一つの柱が、新規顧客獲得です。
特にWeb集客では、すべての商材を一度に広告するのではなく、まず最も差別化できる商材に絞って展開する方針を取りました。
一方、売上に占める割合は高いものの、競合との差別化が難しい商材については、Web広告で直接獲得するのではなく、既存顧客へのクロスセルから広げていく。そのように商材ごとに役割を整理しました。
ターゲットも「需要がある人」に絞る
Web広告では、幅広い人に認知してもらうことを目的にするのではなく、すでに需要が発生している顕在層をターゲットにしました。
商材の特性上、需要期以外に情報に接触しても関心を得られず、広告宣伝効率が得られないからです。
広告を打つ際に重要なのは
「競合がいる中で、なぜ自社を選んでもらうのか?」
というメッセージです。
競合他社との比較を行い、自社の勝ち筋を整理。
その結果、「スペックは最大手と比較しても同格。その上でコストパフォーマンスが高い」という点を強みとして打ち出す方向性を定めました。
ただ安い会社として見せるのではありません。
基本的には「最高級のスペック」を訴求し、そのうえで要所においてコストパフォーマンスの良さを具体的に伝える。
「安いから選ばれる」のではなく、「高い品質なのに、合理的な価格で利用できる」というポジションを狙いました。
【実行支援】戦略だけで終わらせず、具体まで入り込む
戦略を立てるだけでは会社は変わりません。
泥臭い実行支援が弊社の持ち味です。
営業会議の仕組みづくりと運営で営業の質を上げる
今回の支援では、戦略を立てて終わり、という形にはしませんでした。
営業戦略会議の運営にも入り、営業マンの売上・商談・訪問状況を見える化。
会議では、
予算 → 見込み → ギャップ → ギャップを埋める施策 → 振り返り → 改善
という流れを徹底しました。
また、社長や販促支援チームにも会議に参加してもらい、その場で投資判断や方針決定まで行える体制を徹底しました。
戦略と現場を分断させず、
「決める → 動く → 数字を見る → 改善する」
というサイクルを着実に回していきました。
Web広告は、まず小さく検証する
Web集客についても、いきなり大規模なサイト制作や広告投資を行うのではなく、まずは自社で簡易的なLPを作成。
そのLPを使ってWeb広告を運用し、市場の反応を検証しました。
広告運用も支援側で担当し、実際の反応を見ながら改善。
その結果を踏まえ、今後は本格的なWebサイト制作へ投資していくという判断につなげています。
これは、いきなり大きな投資をするのではなく、
小さく試す → 数字を見る → 勝ち筋を確認する → 本格投資する
という進め方です。
商談フォローや販促物まであらゆる角度で課題を解決
営業会議やWeb広告だけではありません。
実際の得意先との商談状況についても確認し、
「今、何がボトルネックになっているのか」「次にどのような動きをすべきなのか」
を整理しながら、営業担当者の商談を絶えずフォロー。
また、販促物についても制作やレビューを行い、営業活動を支えるツールの改善にも取り組みました。
戦略を描くだけではなく、営業・マーケティングの現場まで入り込んで実行を支援する。
それが弊社のコンサルティングスタイルです。
【結果】上半期で黒字転換達成
こうした取り組みを積み重ねた結果、いくつかの変化が生まれました。
まず、問い合わせ数は過去最高を記録。
さらに、売上についても前年同期比で改善し、まだ期中ですが上期時点で黒字化を実現しました。
そして数字だけではありません。
営業活動を可視化し、営業会議で継続的に振り返りと改善を行うことで、従業員のモチベーションやスキルアップにもつながりました。
役員の方からは「これまでで一番営業マンのやる気があるよ」といううれしいお言葉もいただいております。
【まとめ】「原因を知る」ことからはじめ、会社が変わるまで徹底的に支援する
今回の支援で最初に行ったのは、派手なマーケティング施策ではありませんでした。
「なぜ赤字なのか?」
という問いに対して、財務と売上を一つずつ分解していくことから始めました。
その結果、課題の構造が見えてきました。
そこから、
- 既存顧客へのクロスセル
- 単純接触による想起率の向上
- 提案型営業への転換
- 商材ごとのWeb集客戦略
- Web広告の小規模検証
- 営業会議の仕組み化
- 商談フォロー
- 販促物の改善
と、課題に合わせて施策を積み重ねていきました。
経営課題は、最初から「Web広告をやれば解決する」「営業研修をすれば解決する」と決まっているわけではありません。
まず数字から問題の構造を明らかにし、その原因に合わせて打ち手を組み立てる。
今回の事例は、その重要性を改めて実感したケースでした。
問い合わせ数は過去最高へ。
そして、売上は前年同期比で改善し、上期黒字化へ。
「なぜ赤字なのかわからない」という状態から、原因を特定し、打ち手を決め、現場で実行し、数字を改善するところまで伴走する。
それが今回のBtoB事業立て直し支援でした。
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ざっくりした悩みでも問題ありません。
一緒に課題を整理しましょう。

