「共感と応援」がキーワード?|プロセスエコノミーとは

こんにちは、マーケティング・経営コンサルティングを生業としている株式会社Taste and Logicの代表原賀です。

今回のテーマはプロセスエコノミー。
うまく使えば低コストで効果的なプロモーションが行えるマーケティング手法です。
この記事ではプロセスエコノミーについての解説、近年発達した背景、発信により伝えるべきコンテンツなどをまとめています。
すこしでもみなさまのビジネスのお役に立てれば幸いです。

それでは本題に入りましょう。

プロセスエコノミーとは

"プロセス"は日本語で"過程"を意味します。
プロセスエコノミーは「企業の成長や商品を生み出すまでの過程を発信し、収益につなげること」を指す比較的新しい概念です。

今まで、多くの商品は開発段階での情報発信は基本的に行っておりません。
完成した商品そのものの価値を消費者に知らせて買ってもらうことで売上を上げておりました。
これをプロセスエコノミーと対比して「アウトプットエコノミー」と呼んでいます。

一方、プロセスエコノミーにおいて重要なのはむしろ未完成の段階です。
未完成のモノが完成に向かって歩んでいく様をあえて見せることで消費者に共感・応援してもらうことが情緒的価値を生み出すのです。

例えば「推しのアイドルを武道館に連れていく過程を応援する」であったり「夢だった飲食店の開店をクラウドファンディングで応援する」というような内容がプロセスエコノミーにあたります。

プロセスエコノミーが流行した背景

次に、プロセスエコノミーが流行した背景について解説します。
背景としては主に以下の三つです。

1. 産業の成熟

今までの商品開発では「新しい機能が付く」「サイズがコンパクトになって軽くなる」などのスペック面、いわゆる"機能的価値"が差別化の中心でした。
一方で、近年あらゆる産業が成熟しており、品質の悪い商品を探すのが難しいくらいです。
既に一定以上のニーズを満たしている上で、さらにスペック面で改良しても消費者にとってのメリットが薄くなってしまう。いわゆる、オーバースペックと呼ばれるような商品も散見されます。

そんな背景の中、近年の差別化要素として「ブランドの伝統感が好き」や「考え方に共感できる」と言った、スペックに現れない"情緒的価値"の重要性が増してきています。

プロセスエコノミーは情緒的価値を訴求する施策の最たる例です。
過程を応援し、想いに共感することで情緒的価値を訴求するマーケティング手法として現代の複雑化したニーズに対する戦略としてマッチしているのです。

2. 不誠実企業の露出

消費者に対して不誠実な企業が増えてきていることもプロセスエコノミーを加速させている一因と言えるでしょう。

現代ではインターネットとSNSの普及により、消費者があらゆる情報にアクセスできるようになりました。
情報を得ることでリテラシーが向上した消費者と、SNSによる情報拡散も相まって、過剰な効果を謳うサプリメントなど企業側が消費者をだますような広告手法は以前に増して嫌悪されているような状況です。

このような状況の中だからこそ「透明性」の価値が相対的に向上し、「過程の誠実な発信」というプロセスエコノミーが受け入れられるようになってきたのではないかと考えられます。

3. SNSの発達

SNSの発達もプロセスエコノミーの発達に大いに関係しています。

X(Twitter)、Instagram、YouTube、TickTockと様々なメディアでの情報発信が容易になり、それを見る人の数も爆発的に増加しました。

それにより、不特定多数の情報発信のコストが非常に下がり、どんな事業者でも過程の発信ができるようになりました。
プロセスエコノミーとしての過程の発信がどんな事業者でも行えるようになり、普及がすすみました。

プロセスエコノミーのメリット

では、自社でプロセスエコノミーを導入するメリットはなんでしょうか?

以下に解説していきます。

モノ単体を超える価値を生み出せる

前述しましたが、プロセスエコノミーが生み出す価値は商品そのものが持つ機能や特徴にとどまりません。
消費者の共感や応援そのものが差別化要因となりえます。

高単価に設定できたり、他の競合と比較して選んでもらう確率が向上したり、商品がモノとして持つ価値以上の価値を生み出すことが可能です。

広告宣伝費を抑えることができる

プロセスエコノミーの真骨頂は情報発信であり、多くの場合それはSNSによって行われます。

SNSの大きな特徴は、良質なコンテンツを提供し続けることができれば、低コストでより多くの人に情報を届けられることです。

そして、発信するコンテンツに関しても、アウトプットエコノミーにおいては最高品質のものが求められますが、プロセスエコノミーに関してはむしろ売り物になるのは発展途上感です。
見れるレベルのクオリティを保つことはもちろん重要ですが、ありのままの発信でむしろ問題なく、製作費もある程度抑えることができます。

商品を売りだす上で、多くの場合に課題となるのが広告宣伝ですが、プロセスエコノミーはその宣伝に関して大きなメリットがあるのです。

ファンと言う名の協力者を手に入れられる

そして何より重要なのが顧客ファン化による協力者の獲得です。

プロセスを通じて、プロジェクトに共感し、時にはコミュニケーションを取りながら消費者と接するとその人はファンに変わります。
そうすると、商品の改善点のアドバイスや周囲の人への商品紹介がどんどん起こるようになっていきます。
もちろんこれに関しての費用は基本的に発生しません。

商品開発、広告宣伝、ブランディング。
「売り手と買い手」という関係から「一緒にビジネスを育てる協力者」に関係性が変化していくことで得られるメリットは計り知れません。

発信のポイント

「過程を発信する」と一言に言ってもどんなコンテンツでも発信すればよいというわけではありません。

プロセスエコノミーにおけるコミュニケーションの目的は「お客さまの共感と応援を産む」ことです。

知ってもらうのではなく共感してもらう。
買ってもらうのではなく応援してもらう。

この状態を達成できるように情報発信内容を整理しなければなりません。

ではどんな内容を伝えないといけないのでしょうか?

まずはプロセスを発信する上で伝えておかなければならないものを整理しましょう。

プロセスエコノミーで伝えるべき事

プロセスエコノミーを成り立たせるためには以下の3つの要素を持った情報発信が重要です。

① 目標

繰り返しにはなりますが、プロセスエコノミー「応援をしてもらう」という状態を実現するために情報発信を行います。

そして「応援」をするために必ず必要となる要素が"目標"です。
どこに向かっていくのかわからない人を応援することはできないですよね?

プロジェクトのはじめに目標を宣言すれば、事業者と見ている消費者の目線が揃い、同じ方向を向いて歩む事ができます。

目標を設定する際は、具体的、定量的、期限を区切るなどのいわゆる”SMART”のフレームワークに則ったものにするとよいでしょう。

② 現在地

もう一つ必要な要素が"現在地"です。

目的地への到達がどの程度困難なのか?というのは応援する上での非常に大きなポイントになります。

例えば「5人の人にチョコを売りたい」という目標を応援したい人はいるでしょうか?
おそらくいないでしょう。なぜなら応援なんてしなくても勝手に目標は達成されるからです。

反対に「ゼロから事業を立ち上げて来週までに売上を100億円にする」と言った目標はどうでしょう?
これもおそらく応援してくれる人はいないのではないでしょうか?達成できないことが目に見えているからです。

多少極端な例を出しましたが、つまるところ応援に必要なのは「目標達成のための適切な難易度」なのです。

「なにもしなければ到達は難しそうだけれども、頑張れば行けるかもしれない」というような絶妙な難易度に設定する必要があるのです。

そしてその難易度は目標と現在地の双方があって初めて伝えることができます。

そういう意味で目標と合わせて「現在地」を発信する事が必要不可欠なのです。
現在地はプロジェクト開始時点の状況もそうですが、進行途中の進捗状況の報告も重要な要素です。

③ 活動の理由

もう一つの大事な要素が"活動の理由"です。

プロセスエコノミーでは情緒的価値をより重視する必要があります。
その情緒的価値を大きく生み出す源泉のひとつが「共感」です。

共感を広辞苑で引くと「他人の体験する感情や心的状態,あるいは人の主張などを,自分も全く同じように感じたり理解したりする こと。」とあります。つまり、共感してもらうためには感情や動機を相手に伝えなければいけないのです。

その最たるものが「活動の理由」です。

どんなきっかけでプロジェクトをはじめたのか、なぜ目標を達成したいのか、どんな感情を持ってこのプロジェクトに臨んでいるのか。
そういった情報を感情の部分も含めて共有する事で、はじめて共感の土台が出来上がるのです。

消費者を巻き込む

応援してもらうために最も効果的な手法は消費者を巻き込んで協力してもらう事です。
そうすることで前述の「売り手と買い手」から「一緒にビジネスを育てる協力者」への転換を強制的に行うわけです。

人間は自らがかかわった物事に愛着を持つ性質があります。
自分で作った料理は何故だか他人に作ってもらうよりもちょっと美味しく感じることはありませんか?
このような効果は行動経済学の「サンクコストバイアス」でも説明できますが、自ら投じた労力や費用が高くなればなるほど、そのものに対する評価や愛着が高くなるものなのです。

この効果を狙うために、商品開発時点でターゲットユーザーとワークショップを行いアイディア出しを行ったり、熱量の高いユーザーを公式にアンバサダー(企業に代わって商品を宣伝する役目)として任命することで消費者の巻き込みを狙うことができます。

ポイントは巻き込んだからには誠実に対応すること。

「話を聞くだけ聞いてその後に何も報告しない」というのは問題外ですし、アイディアを採用しなかった場合もその理由を伝えるなどの説明責任を果たす必要があります。

誠実さに欠けたコミュニケーションは不信感を買い、せっかく仲間になるはずだった消費者が反対に敵になってしまう事も起こりかねません。

ファンであり仲間としてワークするように対応もしっかりと設計しましょう。

結びとして~とはいえ実行は難しい~

「消費者を巻き込んで価値を創る」プロセスエコノミーの力は計り知れません。

ただし、無数のプロジェクトがプロセスエコノミーに挑戦している一方で、その中で成功している事例は一握りです。

「情報発信をし続けることができなかった」
「ターゲットに情報を届け切ることができなかった」
「情報を発信してみたものの共感を得られなかった」

プロセスエコノミーをやってみる。口で言うのは簡単ですが、実行には無数の壁が立ちはだかります。

ただ、だからこそうまく機能させている事例が輝いて見えるのかも知れません。

株式会社Taste and Logicでは、マーケティング領域の計画・実行支援を実施しています。

プロセスエコノミー、興味があるけどどのように進めていいかわからない。というご相談ももちろん受け付けます。
初回相談は無料となっておりますので是非お気軽にお問合せください。

マーケティング・経営に関する相談はこちらから
初回無料相談受付中!